木揺葉子のつれづれ日記

思ったことを思ったままに。

猫に救われた日々 ~不登校にならなかった理由~

今週のお題「ねこ」

こんばんは、木揺 葉子(きゆら はこ)です。
2月22日、猫の日ですね。
木揺はネコちゃん大好きなのですが、猫アレルギー持ちでもあり…なかなかネコちゃんと遊べない日々を送っております。

そんな木揺、実は小学生の頃はネコと暮らしていました。

私が小学校に上がるのに合わせて、我が家は祖父母宅に引っ越したのですが、そこに先住民として暮らしていたのが、小次郎という雄ネコでした。今日はこの小次郎の思い出を書きたいと思います。

小次郎は、元野良猫。
祖父母宅の敷地内に住み着いて「次郎」と呼ばれていた野良猫(♀)が、近所の人が置いた毒エサを食べて死んでしまい(祖父は最期を看取りました)、その直前に次郎が産んだ仔猫を祖父が育てることにした、それが小次郎でした。

私が引っ越した当時、小次郎はイタズラ盛り。
カーテンの裏側やソファーの後ろに隠れた彼に突然飛び掛かられて、引っ掻かれて、泣いたことを覚えています。あれは遊びたかったのか、それとも、先住民としての地位を主張していたのか(笑)。そんなわけで、私は小次郎が怖くて、しばらくは仲良くなれずにいました。

でも、段々と距離は近づいていきました。
寒い冬の朝。いつもは祖父にしか抱っこされない小次郎が、そーっと私の膝に乗ってきたときの、なんとも言えない緊張感と喜びは忘れられません。いつの間にか仲良くなった私たち。小次郎は賢いネコで、お手やおかわり、しっぽパタパタ、といった芸ができたり、呼ぶと返事もしました。私が学校から帰ると、玄関まで小次郎が迎えに来てくれるというのも、日常になりました。

月日は流れ、小次郎は立派な壮年になり、私は小学校5年生になりました。
当時の私のクラスはいわゆる「学級崩壊」クラスでした。授業中に歩き回る子がいて授業が中断する、先生が注意してもおしゃべりが止まない、いじめが起きている、などなど。。。
いじめられていた子に味方した私もターゲットとなり、闘いの日々が続きました。それでも私は、学校に通い続けました。

学校に絶望しつつも、不登校にもならず、生き抜くことができた理由。その一つが、小次郎の存在だったなと、今思います。

帰宅すると、今はリフォームで無くなってしまった縁側に座り、ちょっと高い台の上に寝っ転がった小次郎の黄金色の体に頭を乗せ、学校での出来事を話しました。

「今日、学級会があったんだよ。Aちゃんへのいじめをやめようって。そんなので無くなるわけないじゃんね、いじめ。明日からもっと酷くなるかな。いやだなぁ。もう行くのやめちゃおっかな。。。」

当たり前ですが、小次郎は喋りません。励ましません。聞いているのかいないのか、目を閉じていたり、手で顔を洗ったり、あくびをしたり。だけど、不思議なことに、いつも話し終わるまでそばにいてくれました。
小次郎の呼吸と鼓動が規則的に聞こえる、人間より高い体温が伝わる、すーっと心が落ち着く。。。誰にも言えないことが、小次郎には話せました。そして、「まっ、とりあえず明日は行くかぁ。」と思えました。

小次郎は、私が中学1年生になった5月に、天国へ行きました。

どうも具合が悪いようだと気づいた祖父が、「明日、病院に行こうな」と言った直後、姿が見えなくなりました。いつもなら外に出かけていても夜には帰って来るのに、いつまで待っても帰ってこない。何日も何日も、帰ってこない。近所中を名前を呼びながら歩きましたが、姿は見えませんでした。
「猫は人に死に目を見せないと言うからなぁ…。」
小次郎を息子のように可愛がっていた祖父の悲痛な顔は、とても見ていられるものではありませんでした。
せめて最後に、ありがとう、大好きだよって言ってやりたかった。ちゃんとお墓を作ってあげたかった。

家族中がもう諦めようと思ったとき、ふと、母が思いついて、保健所に電話を掛けました。
すると、ちょうどこれから、我が家のすぐ近所へ、猫の死体の回収に行くことになっていると教えてくれたのです。
住所を教えてもらえたので調べてみると、そこは祖母の友人宅でした。すぐに連絡を取って出かけてみると、お庭の隅の小さな木の陰に、見慣れた丸い背中が見えました。あぁ、ここにいたんだ。。。不思議なくらい、彼の体はきれいでした。安らかな顔を見て、涙が止まらなかったのと同時に、ほっとしました。

今も、時々、彼のことを思い出します。あのフワフワの毛の感触や、濡れた鼻や、ザラザラの舌を、今も鮮明に思い出せます。小次郎とお別れしてから猫アレルギーが酷くなり、恐らくもうネコを飼うことはできないのですが、小次郎と過ごした6年間は、きっと私をこれからも支えてくれると思います。

あらら、書いているうちに猫の日も終わりが近づいてきました。
これから毎年、この日には小次郎を思い出そうと思います。